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バルセロナのウイニングカルチャーから学ぶ組織論(全文書き起こし:後編)

<FC今治で作った組織文化>

現会長でもある岡田さんの意向で、日本が世界で勝つためのメソッドとして、自分たちのプレーモデルを作るところからクラブはスタートしました。「プレーモデル」という言葉は最近よく出てくる言葉になりましたが、どれぐらいの方がこの言葉聞いたことありますでしょうか?ありがとうございます。まだ、あまり手が上がらなかったかなと思うんですけれども、サッカーの中においてどういう風に試合を運んでいくか、自分たちが勝つためにどういうサッカーを展開していくか、がプレーモデルであり、最近話題になってきているのですが、もう一つすごく大事なことが、先ほど中竹さんもおっしゃっていたように、「クラブの文化」や「クラブの哲学」でした。これが今治というクラブを作る時に(岡田さんが)一番初めにお話していた内容でした。

今治には、チームとして掲げている6つのフィロソフィー(Philosophy)があるんですけれども Enjoy Do your best Our Team Concentration Communication improve この6つですね。

まさに代表活動を行っていた時に選手たちはスタッフ全員が同じ方向を向く為に一つの基準としてフィロソフィーを設けてどんな問題が起きたときも、どんなも苦しい時も、これの何かに当てはめて乗り越えていこうというような形で考えられたものです。その上で、このフィロソフィーというものを一つ基準に置きながらどのようにサッカーを行っていくかを考えました。

その時に、FCバルセロナの元メゾットダイレクター Joan Vila氏

彼はヨハンクライフというはバルセロナの歴史を作ってきた人で、1978年80年ぐらいの2年間一緒にプレーをして、まさにカンプノウで背番号8をつけてプレイしていた人なんですけれども、彼が選手を引退した後に育成年代を指導していて、シャビエルナンデスという間スペイン代表でもバルサのキャプテンもやっていた選手なんですけれども、彼をずっと教えてきたって言う指導者と岡田さんが知り合って、その中で、バルセロナのメソッドっていうのを今治にコピーするそれが正しいことではない。バルセロナはバルセロナの土地柄であったりだとかまさか文化であったり、色んなその人種文化というものを背景にあの100年間かけて培ってきたクラブなんです。でも今治は四国という土地で、その地域の風土であったり人柄であったり、それからサポーターになっていくだろう町の人であったりが、そういう人たちがどういう風にこうクラブと一緒に成長していきたいかということを考えていかないといけない。そこでプレースタイルサッカーのどのようにプレイしていきたいかというスタイルと合わせて、作っていかないといけないんだよっていうようなそんな話からスタートしました。

実際にあのクラブのフィロソフィーと言ってアイデンティティみたいなものを作って行った時に、重要になるのがクラブのロゴ(エンブレム)が非常に重要になるということで今治の場合、もともと村上海賊が発祥で造船が盛んだったので、船の錨(いかり)をエンブレムに入れました。またロゴのカラーリングには青と白を用いて、船の旗をイメージしました。これは、街の人や選手、クラブで働く人たちがエンブレムを見たときに「自分たちのクラブだ」と感じられるエンブレムであることを意識しました。また、いつも同じ方向性を向くための要素が多いほど良いということで、共通言語も設定しました。これはサッカーの中の暗号みたいなものにもなるんですけれども、サッカーの中で例えて言えば、縦パスのことを楔くさびのパスと言ったりするんですが、今治の中で行ったことはイカリのちょうど真ん中の棒のことをシャンクっていうんですね。今治ではこのパスのことシャンクと呼ぼう。イカリのマークの横の矢印・広がっている部分をアームというので、縦パスに対して外側に出すパスのことをアームと呼ぼう。そういったことをトップチームだけじゃなくて、小さい年代やトレセン制度と言うのがあるんですけれども、今治全体、高校・中学校・小学校そういったところにも教えに行く際には、同じ言葉を共有して一つのサッカーを作ってこう。そんな話をしながら今治ではあの作っていった経緯があります。

(中竹)バルサの100年の歴史と今治の小さなクラブの話では違うのですが、やることとしては結局フィロソフィーをちゃんと掲げる。おそらくこの中で会社経営されたり、そういうたことがある人はお分かりだと思いますが、結構ないがしろにされるケースありますし、手垢のついたフィロソフィーを掲げているところもあると思いますが、それをちゃんと馴染ませていく。そういったところも高司さんは経験されていると思います。実際そのフィロソフィーと言われたときに、選手であったりスタッフであったりが、本気で成り立つと思った人がどれくらい最初にいたか、その感覚を知りたいです。

(高司)岡田武史さんというカリスマがクラブを始めたということで、自分はバルセロナから、また浦和や名古屋など、他地域から多くの人が集まりました。今までやっていた仕事をそこで一度辞めてクラブに集まった人が多かったのですが、理念に共感して人々がやってきたという意味では、集団として一つの方向を見るパワーはすごく強かったんじゃないかなと思っています。

(中竹)スタッフ陣以外で、チームのその後の進み具合はどうでしたか?

(高司)一番初めに来た年に関して言うと、あの岡田さんも言うんですけれども、どうしても外様に見られてしまったと。いきなり派手な人がやってきて街を荒らして、また出てっちゃうんじゃないか、街のいろんな人と話していくとそんな心配の声も聞こえてきました。FC今治自体は新たにリスタートしてから5シーズン目なんですけれども、それ以前に既に40年ぐらいの歴史があります。名前が変わりながらFC今治になっていったという背景があったんですけれども、元々クラブを立ち上げた人からしてみると、いきなり自分たちのチームがなくなってしまった、取って代わられてしまったっていうような声も、実は裏側では聞こえていました。そういった方たちとの距離を縮めていくというために日々コミュニケーションを取りました。「なぜこのことをやってるのか」「子供達にとってはどうしてこの指導・トレーニングを行うのか」をお話しながら、普段の指導やトレセンに地域の子どもたちを呼んであげるなど、子供たちにもクラブにもメリットがある方法で距離を縮めていった4年間だったなと思います。

(中竹)ここまではフィロソフィーの話でしたが、次に、プレーモデルについて解説していただいてよろしいでしょうか。(高司)プレーモデルと言うとなんか一概に複雑なすごい絵になってしまうんですけれどもまあ先ほど少し話したプレイの原理原則っていうのがもともとのピッチの中のサッカーのフィールドの中の話で自分たちがこうしよう。勝利するためにこういうサッカーをしよう。ボールを持つためにはあの何をしないといけない。っていうような話なんですけれども元々今治に来た時もサッカーの4局面があるんですが・ボールを保持している時・ボールを失った時・相手チームがボールを保持している時・ボールを取り戻した時サッカーの90分間ではこのサイクルが繰り広げられていて、バルサが考えるサッカーでは「なるべくボールを持ってる時間を増やしたい」つまり「ボールを取られた時には素早く相手から取り戻す」本来4局面ですが「なるべく3局面(「相手チームがボールを保持している時」以外)の時間だけで相手のゴールまで近づこう」ということがプレーの中ですごく言われていたことです。多くのトレーニングは自分たちがボールを保持するために構成されています。ボールを持っている時に20個のコンセプトにとってプレーするということを、8歳ごろから約10年かけて段階的に教育されます。この「プレーモデル」は実際のサッカーのプレーだけでなく、クラブの目的や構造として「何をクラブとして目指しているのか」にも通じます。(詳細はスライド参照)クラブの目的や構造として、例えば今治の場合では「J1に上がる、世界で通用するクラブになる」、FCバルセロナの場合では「ヨーロッパや世界でNo.1になる」、そしてそれを実現するための選手を獲得したり育成したりする。また、国やクラブを代表する選手を輩出することも、プレーモデルに入ってくる概念の一つです。自分たちのフィロソフィーを理解する選手を育てる。FCバルセロナでは「謙虚さ」なども入っていますね。その選手の人間性も含めて教育・育成する仕組みです。

(中竹)育成年代を指導するコーチ向けのガイドラインでは50ページ以上で、さらにサッカー大国だからこそ、根付いている「感覚」しかし実際は、まさに「知の蓄積」ですよね。プレー原則が攻撃だけで20個の概念が存在するわけです。バルセロナやスペインが強くなった裏側には、プレーモデルとヘッドコーチのアイディア、組織の行動指針、そして地域の文化などを総合的に構築し、全てが紐づいているということですね。皆さんも、自分たちの組織がどうなっているか、考えてみてください。ちなみに、高司さん自身は、このプレーモデルをどう活用したんですか?

(高司)今治に行った時、GMとして仕事を引き受けた時に、GMという仕事がよくわかりませんでした。チームによっては「強化部長」や「スポーツダイレクター」など違った名前で呼ばれていて、明確な定義がありませんでした。スペインにあるRCDエスパニョールでは「オプティマイゼーション&ハイパフォーマンス」という部署を設置していて、7つの概念(技術・戦術・ゴールキーパー・メンタル・フィジカル・スカウティン//ビデオ分析・メディカル)を軸に「強化」を考えていました。そしてバックボーンにはクラブのフィロソフィーがありました。クラブとしてはヨーロッパで通用するクラブになることを目標にしていましたが、特に驚いたのはあ、育成コーチたちが「5年後のトップチームのスターティングイレブン」を掲げていたことでした。そこには13歳の選手もいれば、18歳の子もいて、色々なタレントがトップチームに上がる姿を描いていました。「クラブの育て方」として、優秀な選手を獲得するのではなく「クラブの文化が根付いた選手を育てていくこと」への「本気さ」を感じました。

(中竹)それを今治で再現する上で、苦労したことはありますか?例えば、クラブの目的を重要視しない選手がいたとか、ありませんでしたか?

(高司)クラブの目的は明確だったので大きな苦労はありませんでしたし、選手には「しっかりと教えてもらえる環境」が新鮮だったようで、特にスペイン人のコーチがいたこともあり、一生懸命に取り組んでくれた選手が非常に多かったですね。1年目のアイディアを形にするという点では、スムーズに行っていたのですがアマチュアクラブからプロクラブに変わっていくという点では、プロのマインドセットを持つことや、地域やクラブの文化・ビジョンということが壮大過ぎて、提示してもなかなか落ちないという難しさを感じました。

(中竹)FC今治の場合は、岡田さんのカリスマ性もあり、ある意味特殊なケースかもしれませんね。皆さんも、自分が所属している組織では実際の指導とクラブのビジョンや哲学がどれくらいつながっているのか、ぜひ振り返ってみてください。それでは次に、現場の指導とカルチャーをどんな形で結びつけたのか、FCバルセロナの例を高司さんから解説して頂けますか?

(高司)先ほどの4つの局面という話がありましたが、攻撃と守備と2つの局面があります。その下に定位置攻撃、つまり「ポジショナルプレー=良いポジションを取ることで、良いポゼッション(ボールの保持)ができる」という考え方になります。例えばこの図の左側は、定位置攻撃の際に「何をすれば良いか」を具体的に分解した図になります。自陣から敵陣ゴールに進むまでに「ビルドアップ・プログレッション・ダイレクトプレー・フィニッシュ」という4フェーズがあります。そしてこの「攻撃」が、先ほどお話した通り、20個にさらに細かく分類されている形になります。また、サポートタイプという「味方に対するサポートの考え方」も明確に定義されていて、「6つの状況」によって、カウンターアタックの際には、ボールを失った際には、という形で分類されています。

(中竹)これを「文化」として根付かせるために、ユースの年代から取り組んでいて、それを今治でもこうしてプレーモデルを構築されているんですよね。さらに自分たちの型をつくることが、すごく大事で、さきほど高司さんがお話されていた今治の場合、チームワード(前出の「アーム=横パス」や「シャンク=縦へのくさびのパス」など)をたくさん作っている。すべての組織において、チームワードというのはあったほうがいいです。サッカーに限らず、こうしてチームのアイデンティティを確立することは非常に重要ですし、チームワードはとても有効な手段です。

(高司)バルサが特徴的な例を挙げると、通常サッカーでは、攻撃時は前に進み、守備をするときには後ろに戻るということを想像しがちですがバルセロナのサッカーでは「攻撃は一歩後ろへ、守備は一歩前へ」というキーワードがあります。それは、急いでゴールに向かうのではなく、縦と横を広く持ち、全員が良いポジションを取ること。そして、ポゼッションサッカーを実現したいため、守備では自分たちがボールを1秒でも早く取り戻すために「1歩前に」がキーワードになっています。

(中竹)こういったところが、他のチームと違うところでバルサの中では当たり前となっていることで、指導者もわざわざ指導をすることなく、選手たちがそれに気づいて修正をかける。これが文化です。様々なチームで知られていますが「ボールを取られたら、5秒以内にボールを取り戻す」という話もありましたよね。

(高司)先ほど良いポジションの話をしましたが、良いポジション、良いポゼッション、の後に来るのが良いプレッシングです。ボールを失った瞬間に一番近い選手がボールを奪いにいく、そして5秒以内にマイボールの状況を再び作り出す、ということもフィロソフィーとして根付いています。

(中竹)こうして自分たちオリジナルの文化を持つことは「強み」になっていきます。その組織の中で当たり前になっていくと、誰も言わなくても実現されていくことがカルチャーの本質と言えます。そしてそれは、世の中の常識とは「逆」のこともあります。他の組織から安易に転用したり、無理に常識に沿わせてしまうと、自分たちのチーム作りと矛盾することになります。話題の練習を急に取り入れることのリスクは、そこにあります。

【真剣な眼差しで講演を聴く参加者の皆さま】

<スペインと日本の育成年代におけるコーチと選手の違い>

(中竹)どちらでも良いのですが、大きな違いは何でしょうか?

(高司)エリートとして育っている選手は13歳くらいから代理人がつき、スパイクがもう支給されているとか、給料を(厳密には給料ではない形態で)もらってサッカーをしている選手が、スペインには限らずたくさんいます。そういった選手たちの環境として、平等な競争が生まれるように、ピラミッドのようにリーグの制度がしっかりと構築されています。そのおかげでレベルの高い子たち同士で競い合うことができ、いい選手がレベルの高い環境で育成年代を過ごすことができているという印象です。

(中竹)あと、私も驚いたのですが、勉強にも力を入れていますよね。

(高司)特にFCバルセロナにはマシア(La Masia)という育成の「家」のような施設があり、イニエスタ選手(元FCバルセロナ、現ヴィッセル神戸所属)も育成期間をそこで過ごしました。街から車で15分くらい離れたところにトレーニングセンターがあり、そこには大きな5階建てぐらいのビルがあり、13歳から18歳の育成年代の選手が60人ほど暮らしています。学校はみんなで指定の学校にバスで向かい、施設に戻ってきたら、選手によってはマンツーマンで家庭教師がつくので、いわゆる「赤点」のような状況ではサッカーが続けられない仕組みになっています。

(中竹)練習に参加できない場合もあるそうですね。これもまた「More than club」というクラブの理念と紐付いていますよね。こちらも説明して頂けますか?

(高司)そうですね、「Mes un club:メス・カ・ウン・クルブ(カタルーニャ語)」がチームのスローガンとして掲げられていて、街の人たちにとって「いちサッカークラブ以上の価値」を与え続けるという意味が込められています。これを育成に照らし合わせると、プロ選手になった時に、成績に限らず人間性も含めて「クラブを代表する人になってほしい」という願いが体現されていると思います。

(中竹)学力に限らず、「学ぶ」ことを身につけさせていることがわかりますね。これは自分の力をコントロールする力をつけさせていると言っても過言でもありません。ただプロ選手を量産するのではなく、人間教育の中でプロ選手を輩出することは非常に重要ですね。近年、アスリートがマスター(大学院修士号)を取得したり、アカデミックに力を入れたりするケースが増えてきました。コーチも同様で、アカデミックな分野を一つ極めることが、最終的に自分のキャリアに役立つことがわかってきました。オンラインで受講できる大学院なども増えていますし、この姿勢はぜひ日本全体で見習っていく必要があると思います。

【講演も終盤ですが、最後まで学ぶ姿勢が素晴らしい参加者の皆さまの様子】

<日本におけるウイニングカルチャーの浸透例>

それではここで、日本のチームにも触れてみたいと思います。「勝つ文化」を持っているチームを、ぜひ挙げてみてください。

(会場からは以下のチームが挙げられました)

  • 青森山田高校(サッカー)
  • 鹿島アントラーズ(サッカー)
  • 湘南ベルマーレ(サッカー)
  • 帝京大学(ラグビー)
  • 柳川高校(テニス)
  • 早稲田大学(テニス)

(中竹)高司さんからみて、日本のチームで「ウイニングカルチャー」を感じるチームはありますか?

(高司)フットサル日本代表ですね。先日、初めて日本選手権で優勝を飾りましたが、「日本代表とは」というお話を監督から聞くことがありました。チームとして「前のめりであること」「シンクロ」「コミュニケーション」の3つを掲げたそうです。まず個々人が「前のめり」にプレーし、2人の関係性において「シンクロ」を意識し、チーム全体で同じ方向を向くために「コミュニケーション」をとる。フットサルという5人で狭い中プレーする競技性を捉えたチームの指針が勝利を呼びこんだのではないかと考えています。

(中竹)私からはラグビーの神戸製鋼(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)を紹介したいです。15年ぶりにトップリーグ優勝を果たし、先日すごく気になって連絡してみたんですが、「優勝はしたが、まだ道半ばなので他のチームに公開できない」と言われてしまいました(笑)ただこれは本気の証拠ですよね。神戸製鋼という歴史あるチームの根底を紐解き、行動に移しました。おそらく「歴史に対するリスペクトを重んじたチーム作り」をしたのではないかと思います。決戦の12月、スタッフ陣はベンチコーチの下に伝統の作業着を着ていたことはとても印象的でした。

<自分たちがカルチャーをつくる上でまずすべきこと>

(中竹)今回テーマとして「ウイニングカルチャー」を取り上げましたが、そもそも、カルチャーがないチームはないんですよね。そしてカルチャーに正解はないので、自分たちの文化を振り返りながら「(目指す姿を)明確に定義すること」が重要だと思います。そう言った意味では「自分たちがカルチャーをつくる上でまずすべきこと」は何でしょうか?

(高司)「自分たちをしっかりと知ること」だと思います。今治でGMをはじめた時に、「この街がどんな街なのか」「どんな人が住み、働き、応援してくれるのか」を、地元の方と関わりながら肌で感じました。「どんな方たちが自分たちを支えてくれているのか」を知ることが、自分が一番初めに行ったことでした。サッカークラブの場合、10年で終わってはいけないんですね。バルセロナのように100年続くにはどうしたら良いかを考えました。セビージャのGMでモンチ氏(注釈を参照)と話をした時に、こんな話をしていました。クラブのフィロソフィーを理解する選手を連れてこなければいけない。ただ、選手はいずれ移籍してクラブを去ってしまう。だからサポーターにクラブを理解してもらい、クラブを応援する文化を作っていかなくてはならない。そう仰っていました。※セビージャ:スペイン南部にあるSevilla F.C.※モンチ:Ramón Rodríguez Verdejo氏。現在はセビージャのスポーツディレクターを務め、移籍市場における選手の売買と下部組織の強化でクラブを再建した功績者。現役時代はセビージャのGKを務めた。

(中竹)「どうカルチャーをマネジメントするか」に私が答えるなら「まず現状のカルチャーを明確にする」ことから始めます。カルチャーはなかなか言語化できないのですが、今の自分たちの「当たり前」を言語化することで、カルチャーとして認識する。また、科学的にも証明されていますが、「人間は自分のことを正しく認識できません」。自分を「良い人」だと思い込む傾向があるんですね。組織も同じです。そこで重要なのが「いかにフィードバックをもらうか」です。ライバルチーム、一緒に仕事をしている企業などに「問いかける」ことが大切です。最初にお話ししたソフトバンク・ホークスではなかなかチームの皆さんから意見が出なかったので私から「今のホークスは、優勝して当たり前だ」と伝えました。私が早稲田大学ラグビー部の監督をしていた時も、決勝で負けても敗北者として扱われ、誰も「惜しかった」とは言ってくれないわけです。「勝利の捉え方」「自分たちの勝ち方」はなかなか自分たちで気付けないものです。自分たちの文化を客観的に、批判的に見ることが、カルチャー再編の第一歩だと思います。あともう一つ明確なのは、文化を変える時には結局「一人ひとりの行動を変えるしかない」んですね。例えば、味方がPKを外した時に、リザーブ選手がどんなリアクションをとるのか。ライバルがPKを外した時に、喜ぶのか、仲間として悔しがるのか。これには文化が強く根付いていますね。また一つ例を挙げると、毎日の練習での「ロッカールームへの入り方」を徹底的に指導したコーチがいます。チームとして「一体感」をビジョンに掲げるために、チームを1週間観察したそうです。すると、仲の良い選手同士でしゃべりながらロッカールームに入ってきたり、ヘッドホンをしながら入ってくる選手がいることに気づいたと。そこで次のミーティングで、これからはロッカールームに、「必ず笑顔で入り、全員と握手し、今日も頑張ろうとお互いを労おう」と決めたそうです。その積み重ねもあり、勝ち続けるチームになりました。文化を構築するために、ボディランゲージや共通言語は大きな英語で言えば、これはactionではなく、Behaviorです。これがカルチャーに大きく関わります。なので、気になった小さな仕草や行動を修正していくことが非常に重要です。

110名を超える多くの参加者にお集まりいただき、大盛況となりました!ご参加いただいきました皆さまにとって多くの学びとなっていれば幸いです!

今後ともSCJことスポーツコーチングJapanをよろしくお願いいたします!